人の命に限りがある以上、どなたのご家庭でも必ずいつかは行うのが 『御葬儀』 です。
その時になって何も知らない、何も心構えがないと慌てたり、
また周りに迷惑をかけたりしがちです。
生を真剣に考えるという事は 「死」 を考えるという事にも通じるものです。

焼香の作法
通夜では、僧侶の読経中に焼香するケースが多く見られます。
焼香には、立礼の焼香、座礼の焼香がありますが、作法は少し異なります。
● 立 礼
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立礼の場合、順番が来たらまず焼香台の前に進み、遺族と僧侶に一礼し、続いて身を正して頭を下げてご本尊に合掌拝礼します。
そのあと焼香合掌し、最後にもう一度拝礼し、前向きのまま祭壇から2、3歩退いて元の席に戻ります。
(但し縁台等の立礼では、2、3歩退く事はしません)
● 座 礼
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座礼の場合にも腰をかがめて祭壇前に進みます。
喪主に一礼してから前に進み、祭壇に向かって頭を下げます。
次に膝で前へ進み遺影に向かって合掌してから抹香を右手に取り焼香します。その後、再度合掌し、喪主に一礼して立ち上がってから退きます。
● 回し焼香
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式場が狭い時は、香と香炉を盆に乗せて回し焼香を行ないます。
この時、本尊の方角に礼をし、香をつまんで焼香を行ない合掌礼拝して、隣の人に回します。
● 宗派による違い
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焼香回数は宗派で規定しているところがあります。真言宗では焼香3回、線香も3本立てます。
身・口・意の三業を清めるのがその理由です。
真宗大谷派では焼香は2回、浄土真宗本願寺派では1回、線香は立てないで折って寝かせます。
また真宗では、焼香に際して香を額におし戴きません。
曹洞宗では焼香は2回、線香は1本です。
● 線香での焼香のしかた(座礼)
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線香のあげ方は宗派によって違います。
長いまま1本をあげる臨済宗、離して3本の真言宗、折って寝かせる浄土真宗、折らずに寝かせるのが日蓮宗です。
焼香の際には、霊前まで進みます。
そして喪主に一礼をして、祭壇に向かって合掌をします。
このあと、線香を取りローソクで火をつけます。
このとき炎は手であおいで消します。
息をふきかけて消すのは禁物です。そして線香を香炉に立てます。
ここでもう一度合掌してから、そのまま後ろにさがります。
最後に遺族に一礼をして、自席にもどります。
● いわれ
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焼香は仏教儀礼につきもので、釈尊在世当時から行なわれていました。
日本には、推古天皇(628没)の御世に淡路島に香木が漂着したと『日本書紀』に記されています。
唐の鑑真和尚(753来朝)が仏典とともに、香木を携えてきたというのが香流行のはしりといえます。
香は特に夏など部屋の臭気を消すために用いましたが、神仏の食料ともいわれ、高価なために珍重されました。